こんにちは、凡才です。
本ブログではこれまで、実践的な内容を含むビジネス書を参考に
読者の方へ役立つような内容(に仕上げられているかはわかりませんが)をお届けしてきました。
ただ、ビジネス書だけを取り上げようとすると、どうしても内容に偏りが出てしまうのが悩みでした。
そこで今回から新たな試みとして、エッセイ・小説などの文学作品についても
取り上げていこうと思います。
とはいえ、私個人の感想などを書き連ねても、
特に需要のある記事にならないことは
「スイーツ=幸せ」ぐらい明らかなことなので、
基本的に内容のあらすじや私個人の感想などには
(さらっとなぞるかもしれませんが)メインとしてはほとんど触れません。
それよりも本の内容から気になったこと、引っかかったことをちょっと深堀りして、
読んでいただいたあなたの知的好奇心を少しでも刺激できる記事にしていければと思います。
名付けて「読み物」シリーズです!
記念すべき1回目に取り上げる本は
「日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-」です。
×お茶のHow to本→〇茶道から感じた学びのエッセイ

題名だけ見て、

別に茶道に興味ないんだけど…
と思われた方もおられるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
この本は、お茶のやり方を説明している本ではなく、
長年茶道を習った著者が、茶道を通して学んだ気付きを綴ったエッセイです。
「堅苦しい」「格式張ってる」など、茶道を習い始めた当時の率直な心境も書かれていて
茶道について全く知らない私も自然と共感できました。
2018年には、黒木華さん、多部未華子さんの共演で映画化されています。
女優 樹木希林さんの生前最後の出演作となったことでも話題になりました。

私もAmazon prime videoで観ました!
きれいな映像で心洗われるような映画でした
実はつながり深し!茶道と禅

さて、概要はこのくらいにして、ちょっと深掘りしていきます。
私はこの本を読んで初めて知ったのですが、
茶道には「禅」の教えに根ざした部分が結構あるようなのです。
歴史的に見ても、茶道の成り立ちに禅宗が深くかかわっています。

宗教の話は胡散臭いな…
と思う方もおられるかもしれませんが、
禅の教えは結構普遍的で、海外の人にも受け入れられやすい部分が多いようです。
かのスティーブ・ジョブズも来日の際にはたびたび禅寺を訪れ、禅について学んでいたそうです。
そんな茶道と禅のつながりをよく感じられるのが「禅語」です。
茶道では床の間に掛け軸を飾ることが多いのですが、そこに書かれているのが
禅の教えを表す「禅語」と呼ばれる言葉です。
一見するだけだと読みにくいし、意味も想像しにくいので素通りしがちですが、
調べてみるとかなり味わい深い言葉があふれています。
ここからは、そんな奥ゆかしい「禅語」をいくつか紹介していきます。
禅語の世界
今回紹介する禅語は以下の5つです。禅語の中ではかなりメジャーなものだと思います。
- 日々是好日(にちにちこれこうじつ)
- 聴雨(ちょうう)
- 一期一会(いちごいちえ)
- 知足(ちそく)
- 脚下照顧(きゃっかしょうこ)

漢字ばっかりで頭痛くなりそう…

私なりにわかりやすく解説していくので、そう言わずにぜひ!
日々是好日(にちにちこれこうじつ)
「禅語」を代表するような有名な言葉です。
読み方は参考書に倣いましたが、「にちにちこれこう”にち”」とも読まれます。
この禅語を1番最初に紹介するのは、参考書のタイトルになっているのも理由の一つですが、
最大の理由は「禅の根幹となる教えをもっともよく表しているから」です。
「禅」で目指す生き方は、
今この時をあるがままに受け入れ、最大限味わう
というものです。
「日々是好日」とは、
直訳すれば「毎日がスペシャル」(あれ?意訳になってる?)ということです。
ただ、これを聞くと多くの方が、

いやいや、世の中そんなに甘くないっすわ
と思うでしょう。
- 通勤途中で雨が降ってびちょ濡れに
- 報告に行ったら上司に理不尽に怒られた
- PCがフリーズして半日分の作業が水の泡…
毎日生活していたら、こんな日もありますよね。
ただ、「禅」の教えではそれすらも受け入れ、味わうことを目指します。
例えば、
- 通勤途中で雨が降ってびちょ濡れに → 出発前に天気予報を見る大事さが実感できた
- 報告に行ったら上司に理不尽に怒られた → 副業のモチベーションがアップした
- PCがフリーズして半日分の作業が水の泡 → バックアップを習慣づけるきっかけができた
のように、(そんな余裕持てないかもしれませんが)何事も受け入れて味わうのです。
要は「いい日」「悪い日」なんてそもそもなくて、
「あなたの受け取り方次第でどちらにもなり得る」という教えです。
そして、このような生き方ができるなら、どんなことが起きようと
「悪い日なんてない」→「毎日がスペシャル」→「日々是好日」
という考え方なのです。

私もすごく好きな考え方です
聴雨(ちょうう)

シンプルな言葉ですが、参考書の中では著者に大きな気付きを与えています。
そしてこの言葉も先ほどの「禅」が目指す生き方に通じています。
(本文引用)
過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない。道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、ただこの一瞬に没頭できたとき、人間は自分がさえぎるもののない自由の中で生きていることに気付くのだ・・・・・・。
(略)
雨の日は雨を聴く、雪の日は、雪を見る。夏には、夏の暑さを、冬には身を切られるような寒さを味わう。・・・・・・どんな日も、その日を思う存分味わう。
お茶とはそういう「生き方」なのだ。
(ここまで)
どんな時も、今を味わえれていれば「悪い日なんてない」。
「日日是好日」と同様、そんな「禅」の精神が集約された言葉です。

ちなみに、私の知り合いに「雨の日の非日常感が好き」という人がいます。
本人は特に意識していませんでしたが、
自然と「禅」に根ざした生き方を実践できていますね。
一期一会(いちごいちえ)
これは四字熟語としても知られていますので、
いまさら説明する必要もないかもしれません。
ただ、「禅」の考えを知ってから考えると、これもたしかに「今」を味わう精神に通じています。
たとえ同じ場所、同じ人と過ごす時間であっても、今と同じ瞬間は二度と訪れません。
この一瞬ごとが得がたい大切な瞬間である。そんな意識で暮らそうという言葉です。

私は趣味で楽器を弾くので、この言葉にすごく実感が持てます。
同じメンバーで同じ曲を弾いても、まったく同じ演奏というのは絶対に
再現できませんから。
参考書の中では、茶道で「今を生きる」ことを重視する理由について、
茶道の発展に多大な足跡を残した千利休が生きた時代背景も影響しているのでは?と書かれていました。
千利休が活躍したのは、豊臣秀吉が統一したとはいえ、まだ各地で戦が頻発していた戦国時代。
今日、茶席を共にした人が、次の日には戦で死んでしまう。
そんなことも少なくなかった時代だったでしょう。
ましてや今のようにネットもスマホもない時代、
文字通り「1度茶席で一緒になったら、その後一生会うこともない」人も多かったはずです。
だからこそ、「この瞬間の出会い、時間を尊ぶ」という、
一期一会の禅的な発想が、茶道に継承されたのではないか。
とのことです。
知足(ちそく)

「足について詳しくなろう」「足フェチになろう」という言葉ではありませんよ。
「足るを知る」「満ち足りていることを知ろう」という言葉です。
隣の芝生は青く見える、とも言われるように
人はどうしても自分にないもの・ほしいものにばかり目が向き、
満たされない現状を不満に感じてしまいます。
しかし、そんな不満が生まれるのは「他者と比較し自身に過剰な期待をするから」です。
自身の身の丈を知り、今の時点で「満ち足りているもの」に目を向ける。
他人との比較など必要ない。
あなただけの「今この瞬間」を味わう、という言葉です。
この考え方は、特に現状に打ちひしがれているときに心を軽くしてくれます。
「知足」の考えにつながる例を2つほど紹介します。
以前TVで紹介されていて印象に残っている話です。
私生活で不運な出来事が相次いで起こったある芸能人の方が、
美輪明宏さんにどうすればこの苦しい境遇から抜け出せるか相談したとき、
こんなことを言われたそうです。
「人は不幸の数を数えるが、幸せの数を数えようとしない」
どうにもならなかったことではなく、今満たされているものに目を向けなさい、
そうすればあなたは想像以上に幸せに囲まれていることに気付くはず。
という意味合いです。素敵な言葉ですね。
国民的大人気漫画「ONE PIECE」にも、知足の考え方を表した場面が出てきます。
義兄弟であるエースを海軍からの救出目前にして、目の前で失ってしまったルフィ。
深い悲しみと絶望で自暴自棄になってしまいます。
そんなルフィを見かねたジンベエが、彼をこう叱咤激励します。
「今はつらかろうがルフィ、それを押し殺せ!失った物ばかり数えるな!無いものは無い!確認せい!お前にまだ残っておるものは何じゃ!」
するとルフィは涙を流しながら指折り数えて、こうつぶやきます。

このように、「知足」という言葉は
現状に苦しんでいるとき、もがいているときに
気持ちをふっと軽くしてくれる言葉です。
脚下照顧(きゃっかしょうこ)

よくお寺の玄関先に掲げられたりしています。
「足元をよく見よ」「履物をきれいにそろえよ」的な意味でつかわれることが多いですが、
個人的には「照”顧”」がポイントだと思います。
「足元に照らして顧(かえり)みよ」ということです。

顧みるって、何を?

もちろん「自分自身を」です。
この言葉の本質的な意味は、履物そろえなさいではなく
「今あなたが立っている「状況」「境遇」をよく確認しなさい」
ということです。
そして、得てしてそのようなあなたの状態は、
足元の履物のそろい方にもよく現れますよ、といった意味です。
メインは履物をそろえることではなく、履物のそろい方を見て、
自分の今の状態を認識しましょうね、という言葉です。

確かに心穏やかな時は、靴も自然とそろえて脱ぐし、
なんかむしゃくしゃしてるときは脱ぎ散らかしちゃいますよね
履物の状態があなたの心を表す…
人間心理をうまくとらえた言葉だなと思います。
以上が、心がすっと軽くなる「禅語」です。
どれもシンプルで抽象的ではありますが、
その分受け取る人によっても様々な解釈ができる味わい深い言葉です。
(もちろん今回紹介した解釈もあくまで一例に過ぎません)
あなたはどんな風に感じますか?
まとめ
今回は、「日々是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-」からちょっと深掘りして、
心にしみる「禅語」の世界を紹介しました。
どの言葉にも、禅の目指す生き方が根底にあるのを感じていただけたのではないでしょうか。
今この時をあるがままに受け入れ、最大限味わう
どれも余白が広く、人によっていろいろな感じ方ができる言葉です。
- 日々是好日(にちにちこれこうじつ)
- 聴雨(ちょうう)
- 一期一会(いちごいちえ)
- 知足(ちそく)
- 脚下照顧(きゃっかしょうこ)

とっつきにくいけど、わかってくると面白いかも!

今回紹介した以外にも、禅語はたくさんあります!
興味がでた方は、
座右の銘となるような言葉を調べてみてもいいですね!
参考書には、茶道から得た様々な気づきが綴られています。
全く知らない人でも「茶道面白そう」と思える内容になってますので、
気になった方はチェックしてみてください。
以上、凡才でした。
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