こんにちは、凡才です。
ロジカルシンキングには4つのステップがあると、以下の記事でお伝えしました。
そして、これまでに第1ステップの「根拠の考え方」と、
第2ステップの「起きていることを正しく認識する」ための分析手法について、
それぞれ以下の記事で説明してきました。
今回は、第3ステップとして、「数字の上手な使いかた」について紹介していきます。
ロジカルに考えられる人は、数字を正しく理解して上手に使っているのです。

数字って誰でも使い方一緒じゃないの?

ロジカルに考えるにはどんなことに気を付けて数字を扱うべき?
という方に役立つ記事です。ぜひ最後までお読みください。
参考書は以下です。
数字の上手な使い方4選

はじめに結論です。
数字の上手な使い方は以下の4つです。
- 身近な単位に落とし込む
- 実数と率を合わせて使う
- 平均を理解する
- バラつきを考える
順番に見ていきましょう。
身近な単位に落とし込む

日常生活であまり使わない単位だと、数字を使ってもあまりピンとくる人はいません。
そんな時は、身近な単位に落とし込んで伝えるようにしてみましょう。
相手にも実感をもって伝えることができます。
このときのポイントは2つです。
- 「親しみ」が持てる単位に変える
- 厳密さにはこだわらない
例を挙げて考えてみましょう。
2021年の日本国内における桃の出荷量は9万9,600トンでした。(農林水産省HPより)
これを「親しみ」が持てる単位に変換してみましょう。
まず、トンという単位が出てきました。
仕事で使われる方もおられるかもしれませんが、日常生活で使う単位ではないので、
あまりイメージがわかないのではないでしょうか。
そこで、これを桃1個=250gと仮定して、個数に変換してみます。
1トン=1,000,000gなので、計算すると3億9,840万個という結果になります。
個という単位になったことで、トンよりは身近な単位になりましたね。
ただ、これでは億という桁が大きすぎてイメージがつかないので、
次は日本の人口1人あたりに換算してみましょう。
日本の人口は約1億2,000万人なので、計算すると、
人口1人当たり約3個という結果になります。

9万9,600トン → 3億9,840万個 → 1人当たり3個
だいぶイメージしやすい単位になったね!

もちろん、桃が全部250gなわけないし、日本の人口もピッタリ1億2,000万人ではないですが、
ここで大事なのは厳密な計算ではなく「数字に肌感覚をもたせて相手に伝えること」です!
このほかに、例えばお茶の生産量ならペットボトル何本分、
発電量なら一般家庭何世帯分など、
厳密さは一旦置いといて、相手もあなたも「親しみ」が持てる単位にまで落とし込んで伝えるようにしましょう。
実数と率を合わせて使う

数字とともに使うことが多いものが率(%)でしょう。
「○%割引」「内容量○%増量」など、日常生活でも身近なものなので、
仕事の資料などに好んで使われる方もおられるのではないでしょうか。
しかし、この率を使うときにもポイントがあります。
実数も合わせて示すこと
これも例を挙げてみましょう。
AさんとBさんがそれぞれ自分の業務内での消耗品費用の改善活動を行った結果、
それぞれ以下のような結果になりました。

どちらの改善が、より効果が高いと言えるでしょうか。
率でみると、Bさんが圧倒的に高いためBさんの改善が効果が高いと考えられます。
しかし、率と実数はセットで考えるべきなので、
削減前後の消耗品予算を調べてみると以下のようになりました。

こうしてみると、Aさんの削減金額は20万円、Bさんの削減金額は8万円なので、
Aさんの改善がより削減金額が大きいことが分かります。

%だけでは、中身の数値の大小は比較できないんだね!

比率は全体量との関係で相対的に決まる数字なので、絶対量は分かりません!
必ず、実数と率の両方を確認するようにしましょう
%だけに惑わされず、実数も合わせて確認して判断するクセを付けておくと良いです。
平均を理解する

母集団を、ひとつの数字で表現することができるのが平均です。
とても使い勝手がいいので、よく使われますが、
これも以下のポイントを押さえておかないと、数字が独り歩きしかねません。
- グラフにしてみる
- 特殊なデータが含まれていないか確認する
具体例を挙げてみましょう。
Aさん~Iさんの営業成績を調べてみると、以下のようになりました。

平均を考える場合に注意することは何でしょうか。
実際に平均値を求めてみましょう。
平均値は、(データの合計値)÷(データ数)なので、
(100+101+102+109+110+111+112+113+222)÷9 = 120万円になります。
しかし、グラフを確認してもらえれば分かるように、実際に120万円の成績を出した人はいません。
実際には大半の人は113万円以下の数値ですが、
Iさんの数値によって平均値が引き上げられてしまっています。
平均値は、このように突出した値の影響を強く受けるという特徴があります。
データをグラフ化してみることで、
平均値を大きく動かすような特殊なデータが含まれていないかを確認することができるのです。

特殊なデータがあるときは、平均みたいに1つの数字で表現できないってこと?

そんなときは「中央値」を使うと良いですよ!
中央値とは、データ全体の中の「ちょうど真ん中」のデータ値のことで、
今回の例でいけばEさんの110万円になります。
この中央値は、たとえIさんの成績が500万円だろうと50万円だろうと変わりません。
中央値は特殊なデータの影響を受けにくいという特徴があるので、
突出したデータが含まれる場合やデータ分布が左右対称でない場合などに有効です。

よく出される例ですが、年代別貯金額のデータを見てみると、
平均値より中央値の方が肌感覚に合う数値になっていませんか?
バラつきを考える

データには、必ずバラつきがあります。
ロジカルに数字を使うには、このバラつきも考えておきましょう。
バラつきを表現した数値を「標準偏差」と言います。

高校や大学で統計を習った時に、聞いたことがあるという方もおられるかもしれません。
この「標準偏差」で、平均では表現できないバラつきを表現できるのです。

名前も難しそうだし、計算も難しそう…
と思われる方もおられるかもしれませんが、
計算はそれほど難しいものではありません。
標準偏差は以下の3ステップで計算することができます。
- 離れ方を求める
- 個数で割って分散を求める
- 次元を戻す
例を挙げて具体的に説明します。
2つのグループで、あるテストを実施した結果が以下のようになりました。


それぞれの場合で標準偏差を求めてみましょう。
まずは、平均を求めてみるとどちらの場合も60点です。
次に離れ方を求めます。
離れ方は平均との差の2乗の合計で求められます。
例えばAでは、平均60点に対して、40点が1人いるので、(-20)2×1 = 400
50点が4人いるので、(-10)2×4 = 400…
といった感じで計算し、すべての要素を足し合わせていきます。
Aの場合:(-20)2×1 + (-10)2×4 + (0)2×6 + (10)2×4 + (20)2×1 = 1600
Bの場合:(-40)2×1 + (-30)2×1 + (-20)2×1 + (-10)2×3 + (0)2×4 +
(10)2×3 + (20)2×1 + (30)2×1 + (40)2×1 = 6400
次に先ほどの離れ方をデータの個数で割り、分散を求めます。
Aの場合:1600 ÷ (1 + 4 + 6 + 4 + 1) = 100
Bの場合:6400 ÷ (1 + 1 + 1 + 3 + 4 + 3 + 1 + 1 + 1) = 400
最後にルートを付けて次元を戻すと、標準偏差が求まります。
Aの場合:√100 = 10
Bの場合:√400 = 20
標準偏差は大きいほどバラつきが大きいことを表すので、
Aに比べてBの方がバラつきが大きいことが分かります。

わざわざ標準偏差求めなくても、グラフを見れば分かりそうだけどな…

たしかに、グラフが分かっていればそこからバラつきを判断できますが、
実際にはデータだけ与えられて、解釈を求められることも多いです
次はもう少し実践的な例を挙げます。
Aさんに、テストを行ってもらった結果が以下のようになりました。

Aさんは論理思考力とコミュニケーション力、どちらの結果の方がよかったと言えるでしょうか。
論理思考力、コミュニケーション力どちらにおいても、
平均点は60点、Aさんの得点は70点でどちらにも差はみられません。
しかし標準偏差をみると、違いがあります。
つまり、論理思考力は平均点に近い点数を取った人が多くてバラつきが少なく、
コミュニケーション力は、平均点から離れた点数を取った人が多くてバラつきが大きい
と判断できます。

正確な情報は分かりませんが、イメージとしては
論理思考力が最初の例でいうAの場合のような、コミュニケーション力がBの場合のような
得点分布になっていると予想できるわけです!


論理思考力では多くの人が60点をとっている中で70点、
コミュニケーション力では多くの人が60点以外をとっている中で70点という風に考えると、
少数派に属しつつ平均より高い点を取っている論理思考力の結果の方がよかった
と判断することができるのです。
このように、標準偏差でバラつきを考慮すれば、
平均だけではできない判断を下すこともできます。
以上4つが「ロジカルに考えるための数字の上手な使い方」のポイントです。

数字を使うと言っても、難しい計算は必要ないので、
ポイントをおさえて効果的な見せ方をマスターしちゃいましょう!
まとめ
今回は、「ロジカルに考えるための数字の上手な使い方4選」について紹介しました。
- 身近な単位に落とし込む
- 実数と率を合わせて使う
- 平均を理解する
- バラつきを考える

平均はよく使ってたけど、中央値とか標準偏差の使いどころも大事だね!

多くの人が使えていないからこそ、
活用できればあなたの論理的思考力を周囲に示すことができますよ
参考書にはこのほかにも、数字の使い方について詳しく触れられていますので、
気になった方はチェックしてみてください。
以上、凡才でした。
よろしければ次の記事もご覧ください。
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